相変わらず偏った本しか読んでいない。
だから、人にお勧めできるかどうか分からないけれど
久々に読書感想。
まず1冊目。
原宿にある東郷神社の名誉宮司松橋暉男さんの「幻の揮毫(きごう)」(毎日ワンズ)。
三島由紀夫、大正天皇、近衛文麿、東条英機、東郷平八郎、山本五十六…日本の近代史に深く名を残した人々が熱き思いを書に残した。
その貴重で歴史的な書を紹介し、現代に語りかける一冊。
しかし、本書はその「書」だけにはとどまらない。
松橋さんが神職と言う立場から、靖国神社に祀られるA級戦犯の分祀について独自に語っている。
どうやったら皆が気持ちよく参拝できるか、最良の策は…松橋さんの試行錯誤と苦悩。
御魂を東郷神社の海の宮に、中国に媚び諂うのではなくといった非常に意義深い本である。
分祀に賛成であろうと反対であろうと是非読んでいただきたい。

2冊目は山本直樹の「レッド 1」(講談社)。
山本直樹はエロの金字塔のみならず、ビリーバーズなどの社会派的な漫画も描いてきた。
その作風は革命的と言うといい過ぎかもしれないが、
漫画表現における数々の新境地を開拓した。
レッドもそうだろう。
レッドは1969年から始まる、学生運動終末期から始まる「京浜安保共闘」と「赤軍」をモデルにした架空の話。
架空と書いたが、淡々とした話の進み方は息苦しさを増していき、
若者達が何故過激な行動を…やがては総括と言う名の仲間の粛清に至るかをリアルに描いていく。
単行本はまだ1巻しか出ていないので、まだ山荘は出てこない。
キャラクターの頭にはナンバーが振ってある。
このナンバーは十数名に振られてあり、いつもどのコマにもつきまとっている。
ナンバーは死んでいく順番を表したもの。
今まで和気藹々と活動をともにしていた彼らがどうして狂気に駆られていくのか、そういったリアルを増すための新しい表現方法とも言える。
今までの山本直樹とは違う作品(のような気がする)。
ただ、あの時代に興味がないと肩透かしを食らう可能性が大でもある。
自分にとっては好きな作品になったが…

3冊目は藤原カムイ+大塚英志の「アンラッキーヤングメン」(角川書店)。
これも「レッド」と同じく学生運動の時代、1968年からの物語。
若い男女がそれぞれに抱く「革命」への思い。
運動、性愛、裏切りに打ちのめされても生きていくアンラッキーな人々。
映画を撮るからと書かれたシナリオは3億円事件を実行に移すものだったり、
三島由紀夫、盾の会が出てきたり。
よど号ハイジャックも描かれる。
虚構と現実が入り混じった不思議な空気と存在感を持つ作品。
藤原カムイは以前、押井守のシナリオによってアメリカではなくドイツに占領された後の高度経済成長期の日本を舞台にした
首都警(特機隊)とセクトの攻防を描いた作品、「犬狼伝説」を出している。
繊細ながらも濃密な描写は60年代後半の頽廃的ながらもどこか夢見心地な世界を上手く紡ぎだしている。
「アンラッキーヤングメン」はその世界を描ききった藤原カムイだからこそ完成しえた作品ではないだろうか。
「そのうすにがき舌觸りに、われは知る、テロリストのかなしき、かなしき心を。」
posted by ひらりん at 19:27| 埼玉

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