2008年3月25日 東京地方裁判所 104号法廷
午前10:00開廷
被告人・小嶋 進
裁判長・毛利光晴
検察官・武藤雅光/杉山貴史(今回も清野検事は居らず)
被告弁護人・安田好弘(主任)/松井 武/朝比奈秀一/鶴見俊男/新谷 桂/山下幸夫
2分間のテレビカメラによる撮影後に開廷。
弁護団、小嶋氏が入廷する。
裁判長が「小嶋 進ですね?」と訊くと、小嶋氏は「はい」と答えた。
裁判長「主文。懲役3年に処する。未決拘留分190日をその刑に参入する。執行猶予5年。訴訟費用は負担とします」
小嶋氏、裁判長に「少し長くなるので座って聴いてください」と告げられる。
〈判決理由の要旨〉
グランドステージ藤沢に付きヒューザー社に於いて10名との間で売買契約を結んだ。
2005年10月27日午後2時過ぎまでにはGS藤沢の物件が偽装されており、28日に引渡しと残代金があるのを知っていたのだから、残代金の支払いを停止せず、偽装があってもそれでも構わないと敢えてそのことを告げず、安全性が確認されてると信じさせてヒューザーの口座に振り込み入金させ人を欺き金を奪った。
1、被告人はGS藤沢について虚偽であり引渡しが10月28日であり、前日の午後3時までに知っていたか。
2、故意であるか。
・被告人が指示、了承したかどうかは不作為犯である本件とは関係ないし、それほど意味はないが重要な情状事実である。
・午後2時過ぎには詐欺は成立していた。
・10月27日午後10時30分ごろに知っていたという証拠はないが、S元常務の証言でゴルフ場にいるI山の携帯電話に電話して偽装があると知らせた。姉歯の自宅に行ったときにメモした分譲実績表を被告人とI山に見せながら説明していた(10月27日)。しかし、被告人は老眼鏡をかけていなかったので何が書いてあったか分からないと第14回公判以降で主張し始めた。老眼鏡云々の供述変遷は不自然で信用できない。I山の証言も記憶にないなどを連発して信用できない。10月27日午前10時30分頃までには偽装を認識していたと言える。
・引渡し日についての認識は直接証拠はないが関係証拠はある。
・第14回公判以降、証言を変えて既に引渡しが既に終わっていて支払いも済んでいたと思っていたと主張した。2005年11月28日か12月1日にB弁護士から聞いて知ったとした。
・GS藤沢の偽装について10月28日午前10時30分までには知っており、10月29日午後2時過ぎ頃には振込みがあった残代金を一時的に撤回しなければならなかったのに、騙し取ることになるのを認識していたので故意である。
・「詐欺をする意思ではない。ヒューザーは当時潤沢な資金があり、くっか賠償なども考え前向きであった。財産隠匿の行為もない。」とする弁護人の主張は当たっていて、検察側の言う「強い詐欺の意思」は裁判所として是としない。
・被告人は残代金を如何にするかと心揺れながら、ごく軽い気持ちで引き渡してしまった。
・14回公判以降、弁護人もJが録音したSDカードを根拠にI田の証言に根拠はないと主張しだした。
・SDカードの音声は臨場感溢れており作り物ではないと裁判所は認定する。
・音声データは補助証拠としては利用できるが問題はある。音声データが捏造かどうかは被告人の通話記録と符合するので、後日、捏造されたものとは考えにくい。
・被告人は入金をストップさせられたはずであり、十分作為の可能性がある。
〈量刑の理由〉
・被告人が虚偽である構造計算書であるのを知ったのにもかかわらず購入者に告知せず、被害者11名から4億5000万円余りを騙し取った。
・経営のトップとして残代金の支払いをストップできたのに支払わせた。これはマンション経営の代表者としては許されない行為である。結果騙し取ることになった。常識や責任が欠如している。
・エンドユーザー軽視の悪質な犯行。反省の態度が見られない。しかしながら、積極的に代金を騙し取ろうとはしておらず、咄嗟の判断で弱い故意に基づいた犯行である。そもそもは姉歯による問題であり、それをイーホームズが看過した。ヒューザーは耐震偽装事件の被害者でもあり、被告人一人に責任があるものではない。
・マスコミの報道により世間から厳しい批判が集中し、既に社会的制裁は受けている。そして、今までは経営者として社会的貢献している。
最後に裁判長が「不服がある場合は14日以内に高等裁判所に控訴してください」と言って閉廷。
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判決後の記者会見で安田弁護士は以下の様に述べられました。(一部略してあります)
「私たちは小嶋さんから控訴を依頼されて、これから控訴をしたいと思います。今日の判決は大変に誤った判決だと思っています。客観的な証拠を完全に無視して、隘路を探して、なんとしても有罪としたいという。中身を見ると民事判決かと思うほどの内容です。作為と詐欺については極めて弱いものであるという認定をました。判決の内容は矛盾しています。
ご本人もそうですが私たちもこの判決は明らかに誤りであると言わざるを得ず、控訴して正しい判断を求めたいと思っています。
小嶋さんには民事的・道義的なな責任はあります。しかし刑事的責任とは全く無縁だと思っています。
裁判所は民事的責任を刑事的な責任に転嫁することによって、問題を解決しようとしたものです。
民事の責任は民事の責任として、その分野で解決すべき問題で、刑事は刑事で民事を流用することはならないと思っています。刑事裁判所であるならば事実をしっかり見て客観的証拠を捉えて判決を出すべきです。
検察官の主張を裁判所は明確に否定したわけですから。
極めて異例の執行猶予を出す、それで妥協判決を出そうとしているわけです。刑事裁判を政策的に使うというのは凡そ許されないと言うのが私たちの見解です。」
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以下は自分で思ったことなど。
「被告人は残代金を如何にするかと心揺れながら、ごく軽い気持ちで引き渡してしまった。」という裁判所の言い分は、最終弁論での松井弁護士の主張を受け入れたものでです。
判決言い渡し直後から記者の人たちの出入りが慌しくなり、ただでさえボソボソと喋って聞こえ辛い裁判長の声が余計に聞こえなくなり、判決内容が聞き取れない部分が多くありました。
マナーが悪いなあと思いました。これには弁護団もかなりイライラして記者たちを睨んでいました。
小嶋氏はじっと前を見据え、口をグッと結んで判決を聞いていました。
記者団のマナーの悪さについては1級建築士・江口征男先生がJANJANの記事でもお書きになっています。
「耐震偽装のヒューザー元社長・小嶋被告に有罪判決 マナー醜悪の報道陣」
http://www.news.janjan.jp/living/0803/0803263613/1.php
上記記事でも江口先生がご指摘なさってますが、判決の内容は支離滅裂で量刑の理由にならないんじゃないかと思いました。
一部では検察の主張を退け、弁護側の主張を大幅に採用しつつも、「積極的に騙し取ったわけではない」「弱い故意」など首を傾げざるを得ないものでした。
故意に弱いも強いもあるんでしょうか?
裁判所がこの様な曖昧な文言で濁してしまうほどの自信のない判決なんだなと思いました。
耐震偽装関連裁判に於ける「処罰ありき」の空気。既に有罪は決まっていてそれに合わせて進む判決までのシナリオがあるとしか思えません。
それは余りにも演劇的で滑稽で、被告人たちも被害者もたまったものじゃないと思いました。

